電子帳簿保存法関係のカスタマイズと電子帳簿保存法への対応
このコンテンツではiDempiere/JPiereの電子帳簿保存法への対応について検証し、まとめています。また電子帳簿保存法に対応するためのカスタマイズについて紹介しています。
目次
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、納税者の文書保存に係る負担軽減するために、帳簿や国税関係書類を電子データとして保存を可能とする法律です。改ざんなど問題となる行為を防止するために、保存方法について真実性・可視性の確保に係る一定の要件が設けられています。
電子帳簿保存法は、「電子帳簿等保存」、「スキャナ保存」、「電子取引データ保存」の3つに区分しされており、それぞれに要件を満たすことが求められます。
- 電子帳簿等保存 … 各税法で保存が義務付けられている帳簿や書類を、要件を満たす事で、電子データのまま保存する事ができます。
- スキャナ保存 … 各税法で保存が義務づけられている書類を、要件を満たす事で、紙ではなくスキャナで読み取った電子データの形式で保存する事ができます。
- 電子取引データ保存 … 請求書、領収書、契約書、見積書などに関する電子データを送信・受領した場合には、その電子データを一定の要件を満たした形で保存する事が求められます。
電子取引データ保存については、2022年(令和4年)1月1日以降はすげての企業で対応する必要があります。ただし、2023年(令和5年)12月31日までは、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにすれば差し支えないとされています。
◆電子帳簿等保存の対象となる書類や帳簿
電子帳簿等保存の要件は、帳簿と書類の2つに分かれます。帳簿には主要簿と補助簿があります。主要簿は作成が必須とされており、具体的には仕訳帳と総勘定元帳です。補助簿は、必要に応じて作成する帳簿です。
- 帳簿の例 … 仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳など
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- 主要簿(※必須帳簿) … 仕訳帳、総勘定元帳
- 補助簿 … 経費帳、売上帳、仕入帳 など
- 書類の例 … 決算関係書類や取引先に交付する証票類
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- 決算関係書類 … 損益計算書、貸借対照表など
- 取引先に交付する証票類 … 見積書、請求書、納品書、領収書など
◆電子帳簿等保存の要件
国税庁が公開している資料の「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」では、下記のように要件が説明されています。
◆スキャナ保存の対象となる書類
スキャナ保存の対象となる書類には、取引相手から受け取った書類と自己が作成して取引相手に交付する書類の写しがあります。具体的には、契約書、見積書、注文書、納品書、検収書、請求書、領収書などになります。
◆スキャナ保存の要件
国税庁が公開している資料の「はじめませんか、書類のスキャナ保存!」では、スキャナ保存を行うための要件として下記のように説明されています。
2002年4月1日以降にやりとしりた電子取引データの保存に関する要件として、国税庁のパンフレットでは、「1.真実性の確保(改ざん防止)」と「2.可視性の確保」が紹介されています。
◆電子取引データ保存の要件
国税庁の公開している資料「教えて!!令和3年度改正 電子帳簿保存法」では、電子取引データ保存に関する留意点として下記のように要件を説明しています。
他にも国税庁の資料「電子取引データの保存方法をご確認下さい」では、どのように保存する必要があるのか?として、下記のように説明しています。
iDempiere/JPiereの電子帳簿等保存への対応(帳簿編)
国税庁が公開している資料の「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」の「電子保存を行うための要件は?」で紹介されている帳簿の要件毎に、iDempiere/JPiereがどのように対応しているか検証します。
【ポイント】対象の帳簿は"仕訳帳"と"総勘定元帳"‼
ここで検証対象となる帳簿は、主要簿で作成必須となっている仕訳帳と総勘定元帳です。仕訳帳と総勘定元帳で、帳簿の記載事項を満たしていれば、それ以外の帳簿は必須ではなく保存する必要は法的にはありませんので検証の対象外とします。
参照
【ポイント】総勘定元帳に表示されるデータは仕訳帳のデータなので、法令対応すべきは仕訳帳のデータ!!
iDempiereには標準機能で「総勘定元帳」一覧レポートが備わっています。その総勘定元帳レポートでは、仕訳帳のデータを勘定科目毎に表示しています。iDempiereにおいては総勘定元帳に表示されているデータも仕訳帳のデータも同じデータです。そのため、電子帳簿保存法として法令対応して保存しておくべきデータは、仕訳帳のデータということになります。
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記録事項の訂正・削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
まず大前提として、iDempiere/JPiereでは、仕訳帳にユーザーが直接データを登録するような事はできません。取引の種類毎に用意されている各種伝票の入力内容に従って、仕訳帳に仕訳が自動的に記帳されます。
そして仕訳帳に記帳された仕訳を、ユーザーが直接訂正・削除することもできません。仕訳を訂正・削除したい場合、いわゆる赤伝と呼ばれる取り消しの伝票を作成する必要があります。そうすることで、仕訳帳に反対仕訳が記帳され訂正できます。そのため伝票は、訂正・削除を行った記録でもあります。
【ポイント】ユーザーは直接的に仕訳帳のデータを登録/訂正/削除はできない‼
◆伝票ステータスによる記録事項の訂正・削除の制御
iDempiere/JPiereでは伝票には「伝票ステータス」と呼ばれる伝票の入力状況を表すステータスがあります。その伝票ステータスが「完成」になるタイミングか、もしくは伝票ステータスが完成になった以降に、転記処理プログラムが実行される事で、仕訳帳に仕訳が自動的に記帳されます。そして、伝票ステータスが完成になった伝票は削除はできなくなります。
仕訳の訂正を行う場合、仕訳のもととなった伝票を取り消し処理をする必要があります。その取り消し処理のことをiDempiere/JPiereでは「リバース」と言います。伝票をリバースすると、いわゆる赤伝と呼ばれるマイナスの伝票が自動的に起票され、その伝票から訂正したい仕訳の反対仕訳が仕訳帳に記帳されます。そのため伝票自体が仕訳を訂正した履歴となります。
【ポイント】リバースで作成された"赤伝"は仕訳の訂正履歴!!
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◆会計カレンダーによる訂正・削除の制御
会計カレンダーをクローズにすると、クローズした期間の伝票の伝票ステータスは変更する事ができなくなり、そのためクローズした期間の仕訳は登録も訂正・削除もできなくなります。詳しくは、下記を参照して下さい。
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◆更新ログ
iDempiereの標準機能には、データを更新した時にログを記録できる機能もあります。仕訳帳に記帳されているデータはユーザーが直接的に修正できませんが、修正していない事を証明するためにも、仕訳帳はすべての更新ログを記録するように設定する事をオススメします。
【ポイント】JPiereでは初期設定で仕訳帳は更新ログを取得する!!
JPiereでは、2022年7月20日に更新したダンプファイルより、仕訳帳はすべての項目について更新ログを取得するように設定しました。
通常、仕訳帳はユーザーは直接的に入力・訂正・削除できませんので、更新ログが記録されるようなことはありませんが、何らかの理由で修正した際には、その履歴が残ることになります。
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通常の業務処理期間を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
iDempiere/JPiereでは、データを登録した日時とそのユーザーの情報及び直近に更新した日時とそのユーザーの情報は、レコードに保持しています。そして仕訳帳には転記日付として仕訳を計上すべき日付が入力されますので、その日付を比較して、通常の業務処理期間を経過した後に入力を行ったかどうか確認できます。
電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できること
iDempiere/JPiereにおいて、電子帳簿保存法の"帳簿"に該当するのは"仕訳帳"と"総勘定元帳"です。総勘定元帳は仕訳帳のデータをもとに作成されるため、相互にその関連性を確認するのは容易です(同じデータですので、^。^)。
そしてiDempiere/JPiereでは、取引の種類毎にそれに応じた伝票があり、伝票は電子帳簿保存法上の"書類"に該当するわけですが、その伝票(書類)と仕訳(帳簿)においても、整合性が保たれて保存されています。
参照
システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
システム関係書類等を備え付けることという事で、詳しくは下記を参照して下さい。
参照
保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
操作マニュアルを備え付けることという事で、詳しくは下記を参照して下さい。
参照
検索要件
電子帳簿等保存に対応するための検索要件として、「取引先」、「取引年月日」、「取引金額」で検索できることとされています。さらに、日付と金額は範囲指定により検索できることとされ、2つ以上の任意の検索項目を組み合わせて検索できることとされています。
iDempiereの検索機能は、とても優れており、これらの要件を用意に満たす事ができます。詳しくは下記を参照して下さい。
参照
税務署員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしておくこと
iDempiereでは標準機能で、権限があればデータをダウンロードできるようになっています。
参照
iDempiere/JPiereの電子帳簿等保存への対応(書類編)
国税庁が公開している資料の「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」の「電子保存を行うための要件は?」で紹介されている書類に関する要件毎に、iDempiere/JPiereがどのように対応しているか検証します。
システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
システム関係書類等を備え付けることという事で、詳しくは下記を参照して下さい。
参照
保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
操作マニュアルを備え付けることという事で、詳しくは下記を参照して下さい。
参照
税務署員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしておくこと
iDempiereでは標準機能で、権限があればデータをダウンロードできるようになっています。
参照
その他の電子帳簿等保存への対応(書類編)に関連する機能
iDempiere/JPiereのスキャナ保存への対応
国税庁が公開している資料の「はじめませんか、書類のスキャナ保存!」の「スキャナ保存を行うための要件は?」に掲載されている項目に、iDempiere/JPiereがどのように対応しているか検証します。
iDempiere/JPiereのスキャナ保存への対応は、「JPiereオリジナルの添付ファイル管理」の機能を使用する想定で検証します。
入力期間の制限
入力期間の制限については、基本的に、運用で対応すべきものと考えています。iDempiere/JPiereとしては、添付ファイルした日時を記録できるので、ファイルを添付した業務データの登録日時と比較して、入力期間内に行われたかどうか確認できます。
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一定水準以上の解像度及びカラー画像による読み取り
スキャンする解像度(200dpi以上)やカラー(256階調以上)については、スキャナーが対応すべきものですので、iDempiere/JPiereの検証の対象外とします。
タイムスタンプの付与
「入力期間内に、一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプ(電磁的記録が変更されていないことについて、保存期間を通じて確認することができ、課税期間中の任意の期間を指定し、一括して検証する事ができるものに限る。)を一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に付すこと。
※入力期間内にその国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合には、このタイムスタンプの付与要件に代えることができる。
タイムスタンプに代わる要件として「入力期間内にその国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合には、このタイムスタンプの付与要件に代えることができる」とあり、「JPiereオリジナルの添付ファイル管理」の機能のファイルのハッシュ値とファイルを添付した日付を記録する機能が、タイムスタンプに代替する機能に該当するのではないかと思います。
参照
【補足説明】タイムスタンプとは
電子帳簿保存法のタイムスタンプは、第三者機関である時刻認証業務認定事業者(TSA:Time-Stamping Authority。以下、TSA)に発行してもらう必要があり、ファイルにタイムスタンプが付与されると、付与された時刻にファイルが存在していたことと、付与時刻以降はファイルが変更されていないことが証明されます。
時刻認証業務認定事業者は下記を参照して下さい。
参照
「JPiereオリジナルの添付ファイル管理」の機能は、ファイルのハッシュ値とそのハッシュを計算した日付を保持する事で、タイムスタンプに代わる要件を満たせる機能なのではないかと思います。
読取情報の保存
「読み取った際の解像度、階調及び当該国税関係書類の大きさに関する情報を保存すること」※国税関係書類の受領者等が読み取る場合で、当該国税関係書類の大きさがA4以下である時は、大きさに関する情報の保存不要。
読取情報の保存は、基本は運用で対応すべきものと思いますし、書類の大きさはA4以下であれば不要という事で、ほとんどの紙は対応自体不要だと思います。対応が必要な場合は、下記のような対応が考えられるかなと思います。
- 紙の大きさは、ファイル名に入れる。
- JPiereオリジナルの添付ファイル管理の「添付ファイルの説明」欄に入力する。
ヴァージョン管理
「国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認する事ができる電子計算機処理システム又は訂正又は削除を行うことができない電子計算機処理システムを使用すること。
「JPiereオリジナルの添付ファイル管理」の機能は、添付したファイルを編集するような事はできません。また削除可能フラグをOFFにする事で削除できなくなります。このことは、「訂正又は削除を行う事ができない電子計算処理システム」を使用する事という要件に合致しているものと思います。
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入力者等情報の確認
「国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにしておくこと」
「JPiereオリジナルの添付ファイル管理」では、だれがファイルを添付したのか確認する事ができます。その責任者の情報も組織マスタやユーザーの責任者を設定する事が把握する事ができます。
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帳簿との相互関連性の確保
「国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項と当該国税関係書類に関連する国税関係帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認する事ができるようにしておくこと」
「JPiereオリジナルの添付ファイル管理」の機能を使用すると、業務データと添付ファイルを結びつけて管理及び保存することができます。
見読可能装置の備え付け等
主に出力装置の要件のため、iDempiere/JPiereの範囲外なので検証の対象外とします。
電子計算機処理システムの概要書等の備付け
「電子計算機処理システムの概要を記載した書類、そのシステムの開発に際して作成した書類、操作説明書、電子計算機処理並びに電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続きを明らかにした書類を備え付けること」
という事で、詳しくは下記を参照して下さい。
参照
検索機能の確保
電磁的記録の記録事項について、次の要件による検索ができるようにすること
(1) 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先での検索
(2) 日付又は金額に係る記録事項について範囲を指定しての検索
(3) 2以上の任意の記録項目を組み合わせての検索
※税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、(2)及び(3)の要件は不要
iDempiereの検索機能はとても優れており、この要件を容易に満たす事ができます。詳しくは下記を参照して下さい。
参照
iDempiere/JPiereの電子取引データ保存への対応
国税庁の公開している資料「教えて!!令和3年度改正 電子帳簿保存法」の、「電子取引データ保存に関する留意点」と、「電子取引データの保存方法をご確認下さい」の「どのように保存する必要があるのか?」を参考に、iDempiere/JPiereが、電子取引データ保存で求められている"真実性の確保(改ざん防止)"と"可視性の確保"にどのように対応しているのか検証します。
真実性の確保(改ざん防止)
※以下のいずれかを満たすこと。
①タイムスタンプが付与されたデータを受け取る。
②保存するデータにタイムスタンプを付与する。
③データの授受と保存を、訂正削除履歴が残るシステムやそもそも訂正削除ができないシステムで行う。
④不当な訂正削除の防止に関する事務処理規定を制定し、遵守する。
真実性の確保(改ざん防止)に関する要件では④不正な訂正削除の防止に関する事務処理規定を制定し、遵守する で良いとされていますので、必ずしもシステム対応する必要はありません。そしてシステム対応する場合でも④不正な訂正削除の防止に関する事務処理規定を制定し、遵守する ことは前提だと思いますので、この事務処理規定の制定は、すべての企業で行うべきだと思われます。
国税庁のサイトでは、事務処理規定のサンプルを掲載してくれていますので、アーカイブとして下記に掲載していますのでご参照下さい。
参照
事務処理規定を整備すれば、真実性の確保(改ざん防止)の要件にシステム的に対応する必要は現時点ではないのですが、JPiereオリジナルの添付ファイル管理の機能を使用すると、添付したファイルはサーバーに保存されますので、ユーザーは直接ファイルを修正できませんし、削除できないように制御することもできます。そして、添付ファイル台帳にファイルを添付した日時と、ファイルのハッシュ値を添付ファイルのメタデータとして記録してくれるので、ファイルを添付した日時からファイルが変更になっていない(改ざんが無い)事が証明できます。
参照
可視性の確保
※以下を全て満たすこと。
①モニター・操作説明書等の備付け
②検索要件の充足
◆①モニター・操作説明書等の備付け
モニターについては、出力装置の話なので、iDempiere/JPiereとは直接的には関係ないので、検証対象外としてます。操作説明書等については、下記のコンテンツを参照して下さい。
参照
◆②検索条件の充足
「日付・金額・取引先」で検索できるようにする
iDempiereの検索機能はとても優れており、この要件を容易に満たす事ができます。詳しくは下記を参照して下さい。
参照
更新ログ
電子帳簿保存法では、対象となるデータやファイルの訂正や削除を行った場合に、それらの内容を確認できることが求められます。訂正した事の確認方法の手段の1つとして、iDempiereの標準機能では、情報を更新した記録(ログ)をする機能があり、それぞれのレコードに保持している情報と、更新ログとして別途記録している情報の2種類あります。
レコードに保持する作成日と作成者、更新日と更新者
iDempiereでは、業務データのレコード自体に、そのレコードの作成日と作成者、直近の更新日と更新者の情報を保持しており、ウィンドウ上で確認できるようになっています。
ウィンドウの右上に表示されている、レコード情報(選択レコード番号/表示レコード数)をクリックすると表示されるポップアップウィンドウで確認できます。
更新ログ
iDempiereの標準機能では、データベースのカラム単位で、更新ログを記録するかどうか設定する事ができます。
◆更新ログウィンドウ
記録したログは、更新ログウィンドウで確認できます。更新ログウィンドウでは、レコードIDボタンを押すことで、更新したレコードにズームすることもできます。
主な記録事項
- 更新日 … 更新した日時
- 更新者 … 更新したユーザー
- テーブル … 更新したデータベースのテーブル
- カラム … 更新したデータベースのテーブルのカラム
- 旧値 … 更新前の値
- 新値 … 更新後の値
◆レコード情報
ウィンドウのレコード情報をクリックして表示されるポップアップウィンドウで、管理者であれば更新ログを時系列で確認できます。
◆更新ログを記録する設定
更新ログを記録したいカラムは、「テーブルとカラム」の設定を行い、iDempiere/JPiereを再起動して下さい。
【ポイント】アプリケーション辞書の設定の変更はログが残ります‼
アプリケーション辞書では設定を変更した場合、そのログは残るようになっています。
そのため、更新ログを取るor取らないの設定を変更した場合もログは残ります。
iDempiere/JPiereでは、いろいろな取引を伝票として記録します。伝票には伝票の入力状況を表す伝票ステータスがあり、伝票ステータスが"完成"になることで正式に入力が完了し承認された事を意味し、仕訳帳に仕訳が記帳されます。
【ポイント】仕訳が記帳されない伝票もある!
iDempiere/JPiereには、色々な種類の伝票があります。それらの伝票の全てで仕訳が記帳されるわけではなく、会計的に仕訳を記帳する必要が無い伝票では、仕訳は記帳されません。
ウィンドウでの仕訳の確認
各種伝票のウィンドウでは、仕訳が転記されていると会計情報を参照できるユーザーには"転記済みボタン"が表示され、転記済みボタンを押すと、仕訳帳ビューワーで"仕訳帳"に転記されている仕訳を確認することができます。
◆伝票のウィンドウ
◆仕訳帳ビューワー
ウィンドウで、転記済みボタンをおすと下記のように仕訳帳ビューワーが起動して、伝票から起票された仕訳を確認できます。仕訳帳ビューワーは参照のみで、訂正や削除はできません。
◆仕訳帳ウィンドウ
iDempiere/JPiereでは仕訳帳に記帳されている仕訳を確認するために仕訳帳ウィンドウが用意されています。その仕訳帳ウィンドウに表示されている仕訳から、仕訳のもとになった伝票へズームして参照するようなこともできます。
【ポイント】仕訳帳ウィンドウは参照のみで登録/訂正/削除できません‼
伝票ステータスの更新と仕訳の訂正
仕訳帳に記帳された仕訳は、ユーザーが意図的に訂正したり、削除する事はできず、伝票ステータスが"完成"になっている伝票も削除する事はできません。仕訳を訂正する場合には、伝票から訂正する必要があり、伝票と仕訳は常に矛盾する事無く相互に関連性をもって、iDempiere/JPiere内に記録されています。
【ポイント】伝票と仕訳は相互に関連性を保ち、矛盾なく保存されます!!
仕訳を訂正したい場合には、仕訳の発生もとの伝票の伝票ステータスを"リバース"します。伝票ステータスをリバースする事で、訂正を意味する伝票であるいわゆる"赤伝"が自動起票され、赤伝から反対仕訳が仕訳帳に記帳されて、訂正できます。このように伝票は仕訳の訂正の履歴にもなっています。
【ポイント】リバースで作成された"赤伝"は、仕訳の訂正履歴!!
会計カレンダー
電子帳簿保存法では、改ざん防止のため、訂正や削除ができないシステムもしくはその履歴が残るシステムを要件に挙げています。iDempiereでは、会計カレンダーという機能があり、会計期間毎(1ヶ月単位)で、伝票の登録・更新・削除の可否を制御する事ができます。
会計カレンダーを"クローズ"にした期間は、伝票を登録したり、削除したり、伝票ステータスを更新したりできなくなります。そのため、クローズした期間に仕訳は記帳されませんし訂正・削除もできません。
月次の締め処理を行った会計期間はクローズする事で、会計的は数値が変動する事は無く、改ざん防止にもなります。
データ検索機能
iDempiereでは主なデータ検索の方法として、ウィンドウの虫眼鏡アイコンでの検索と、検索ウィンドウでの検索の2つあり、どちらを使用しても、電子帳簿保存法で求められている、取引先、金額、日付で複合的に範囲指定して検索する事ができます。
ウィンドウの虫眼鏡アイコンでの検索
ウィンドウの虫眼鏡アイコンを押して表示される検索条件入力画面では、ウィンドウに表示されているフィールドであれば検索条件にする事ができます。
◆通常検索
通常検索では、ウィンドウに表示されているフィールドであれば検索条件として使用できます。よく検索に使用するフィールドは設定により上部に表示させる事ができ、あまり検索に使用しないフィールドは折りたたまれた状態で表示されます。
◆詳細検索
詳細検索を使用すると、複雑な検索条件を組み立てる事ができます。詳細検索の検索条件は保存して、繰返し呼び出して使用する事ができます。
検索ウィンドウでの検索
検索ウィンドウは、ウィンドウの検索フィールドで使用されるだけではなく、メニューやガジェットからでも呼び出す事ができ、色々なデータを検索できます。そして検索したデータを選択してウィンドウにズームして編集するようなこともできます。
検索ウィンドウは、検索条件や検索結果として表示される情報を簡単に設定できます。
ダウンロード
電子帳簿保存法では、税務職員による質問検査権に基づきダウンロードできる事が求められます。iDempiereでは、業務データはウィンドウや一覧レポートから権限があれば、簡単にダウンロードできます。
ウィンドウからのダウンロード
ウィンドウで虫眼鏡アイコンを使用して検索したデータをエクスポートアイコンでダウンロードできます。
一覧レポートからのダウンロード
一覧レポートに表示されているデータをダウンロードする事ができます。ダウンロードの方法は、ツールバーの左端にある、レポート表示の選択リストで、XLS、CSV、XLSXのいずれかを選択する方法と、ツールバーの右側にある、ダウンロードアイコンをクリックする方法の2つあります。
検索ウィンドウからのダウンロード
検索ウィンドウで検索した結果をダウンロードできます。
JPiereオリジナル添付ファイル管理
スキャナ保存と電子取引データ保存に関係するJPiereの機能の中心は、「JPiereオリジナル添付ファイル管理」で、iDempiere/JPiereで管理している業務データに、色々なファイルを添付できる機能です。
詳しい「JPiereオリジナル添付ファイル管理」の機能は下記のコンテンツを参照して下さい。
【ポイント】スキャンしたファイルと取引データを一緒に管理できる!!
「JPiereオリジナル添付ファイル管理」を使用すると、受注伝票や仕入請求伝票をはじめとする各種取引のデータに、関連するファイルを添付して一元管理できるので、とても便利です。
添付したファイルのハッシュ値と添付日時、添付したユーザーの記録
JPiereオリジナルの添付ファイル管理の機能を使用すると、添付したファイルはサーバーに保存されますので、ユーザーは直接ファイルを修正できません。そして、添付ファイル台帳にファイルを添付した日時とファイルのハッシュ値を添付ファイルのメタデータとして記録します。
この事で、ファイルを添付した日時からファイルが変更になっていない(改ざんが無い)事が証明できます。
そして、削除不可フラグをOFFにする事で、ユーザーはファイルの削除もできなくなります。
【ポイント】削除可能フラグを自動でOFFにする
削除可能フラグは、伝票ステータス更新や、ファイルを添付した業務データの特定のカラムが特定の状態になった時に自動でOFFにする事ができます。伝票ステータス更新の「完成にする」処理と、処理済み[Processsed]のカラムがON[Y]になった時に、削除可能フラグをOFFにする設定にすると、伝票の更新ができなくなったタイミングで、ファイルも削除できなくなるのでオススメです。
参照
他にも、バッチ処理で実行条件に合致した添付ファイル台帳のデータの削除可能フラグを一括でOFFにする事もできます。
添付ファイル管理台帳の検索
可視性の確保として「日付・金額・取引先」で検索できる事が必要とされています。JPiereオリジナル添付ファイル管理では、添付ファイル台帳に添付したファイルのメタデータとしてファイルの添付元となった業務データの情報を保持します。その情報の中には、日付、取引先、各種金額の情報を保持しています。
データの検索はiDempiereの得意な所です!添付ファイル台帳の検索アイコンでも「取引先」、「日付」、「金額」での検索は実現できています。
【ポイント】ウィンドウに表示されているフィールドであれば検索条件にできる
iDempiereでは、ウィンドウに表示されているフィールドであれば、検索条件として使用して、データを検索できます。
【ポイント】添付ファイル台帳には管理項目を簡単に追加できる!
添付ファイル台帳には、ファイルの添付元となった業務データのテーブルと同じカラムがある場合、そのカラムの値をコピーして保持します。この機能は、添付ファイル台帳にカスタマイズして追加したカラムにも適用されます。
検索に必要な情報は、どんどんカラムを追加して、検索して下さい。
添付ファイルのダウンロード
JPiereオリジナル添付ファイル管理では、添付したファイルをダウンロードできます。添付したファイルを1つずつダウンロードする事もできますし、まとめてZIPファイルにしてダウンロードすることもできます。
添付ファイル台帳では、選択しているレコードの添付ファイルをダウンロードできます。
ドキュメント
電子帳簿保存法では下記のドキュメントを、備え付ける事を求めています。
- システム概要書
- システム仕様書
- 操作説明書
- 事務処理マニュアル等
しかしながら上記のドキュメントのうち、電子帳簿保存法の施行規則第2条第2項第1号では、保存義務者が開発したプログラムではない場合は、システム概要書とシステム仕様書は除くものとされています。iDempiere/JPiereは、これに該当するものと思われますので、最低限のドキュメントとして、操作説明書と事務処理マニュアルを用意すれば良いことになります。
【ポイント】操作説明書と事務処理マニュアルを用意する‼
そして、これらのドキュメン類は、オンラインマニュアルやオンラインヘルプと言われるものでも同等の内容が組み込まれている場合には、良いとされています。下記は、国税庁のサイトに公開されている一問一答です。ここにアーカイブとして掲載しておきます。
【ポイント】オンライン上のドキュメントでも良い‼
システム概要書
iDempiere/JPiereは、保存義務者が開発したプログラムではないので、システム概要書は、必須ではないものと思います。しかしながら、「いつでもどこでもオンラインセミナーの資料」は、多くの人にiDempiere/JPiereを概要的に理解してもらうために作成した資料ですので、システム概要書と言って差し支えないのではないかと思います。
参考
システム仕様書
iDempiere/JPiereは、保存義務者が開発したプログラムではないので、システム仕様書は、必須ではないものと思いますが、JPiereとして開発した機能の仕様的なものは、このサイトのJPiere Lab -> カスタマイズの中ですべて公開しています。
参照
操作説明書
操作説明書は、備付けが必要とされるドキュメントです。JPiereの操作説明書となるコンテンツは、下記のコンテンツになります。紙に出力した場合には、AB00:iDempiere/JPiere入門講座のテキストをPDFで公開していますので、内容的に操作説明書として利用できるのではないかと思います。
参照
◆電子帳簿等保存の事務処理規定
国税庁のサイトでは、電子帳簿等保存の事務処理規定のサンプルとして下記のファイルが掲載されています。アーカイブとしてここにも掲載しておきます。
◆スキャナ保存の事務処理規定
国税庁のサイトでは、スキャナ保存の事務処理規定のサンプルとして下記のファイルが掲載されています。アーカイブとしてここにも掲載しておきます。
◆電子取引データ保存
国税庁のサイトでは、電子取引データ保存の事務処理規定のサンプルとして下記のファイルが掲載されています。アーカイブとしてここにも掲載しておきます。