【JPIERE-0454】弥生会計インポート用仕訳データ作成

 弥生会計インポート用仕訳データ作成プロセスでは、iDempiereの仕訳データから、弥生会計にインポートできる仕訳データを作成する事ができます。

 iDempiereはERPとして会計の機能があり決算を行う事はできますが、iDempiereの使い方としては、会計は別システムである事も少なくありません。また決算までiDempiereで行っている場合でも、税務申告を税理士に依頼しているようなケースでは、仕訳のデータを税理士に渡す必要があったりします。そのような場合で、弥生会計を使っているようなケースを想定し、iDempiereの仕訳データを弥生会計にインポートするフォーマットに変換するプロセスを開発しました。

弥生会計インポート用仕訳データ作成プロセス概要

Step1:事前準備

弥生会計にインポートできる仕訳データを作成するためには、下記の2つの準備が必要です。

◆Step1-1:勘定科目の結びつけ

iDempiereの勘定科目と、弥生会計の勘定科目を結びつける必要があります。

◆Step1-2:税金情報の結びつけ

消費税の処理を行うために、iDempiereの税金情報マスタと弥生会計の税区分を結びつける必要があります。

Step2:弥生会計インポート用仕訳データ作成プロセスの実行

「勘定科目の結びつけ」と「税金情報の結びつけ」を行ってあとで弥生会計インポート用仕訳データ作成プロセスを実行します。作成した弥生会計へインポートするデータは一覧レポートとして表示されますので、CSVデータとしてダウンロードして下さい。

Step3:弥生会計へインポート

弥生会計に"振替伝票データ"としてインポートします。

Step1:事前準備

Step1-1:勘定科目の結びつけ

iDempiereの勘定科目の「IF検索キーフィールド(JP_IF_Valueカラム)」に、弥生情報の勘定科目と結びつけるための情報を入力します。「IF検索キーフィールド(JP_IF_Valueカラム)」に入力が無い場合は、勘定科目の「検索キー(Value)」の値を使用して、弥生会計にインポートする仕訳データを作成します。

Step1-2:税金情報の結びつけ

iDempiereの税金情報マスタに、弥生会計の税区分と結びつけるための情報を「IF検索キーフィールド(JP_IF_Valueカラム)」に、入力します。「IF検索キーフィールド(JP_IF_Valueカラム)」に入力が無い場合、弥生会計にインポートする仕訳データの税区分は"対象外"となります。

【ポイント】消費税の計算はiDempiereで行っている!!

基本的に、iDempiereの自動仕訳では消費税の計算が行われ、仕訳は税抜経理処理されています。そのため、弥生会計側で再度消費税を計算する必要は無いので注意して下さい。

Step2:弥生会計インポート用仕訳データ作成プロセスの実行

Step2-1:弥生会計インポート用仕訳データ作成プロセス実行条件入力画面

◆会計スキーマ(必須)

弥生会計へインポートする仕訳の対象となる"会計スキーマ"を選択します。

【補足説明】会計スキーマとは

iDempiereの会計スキーマとは"会計帳簿"だと思って下さい。iDempiereでは複数の会計帳簿を作ることができますので、会計帳簿が複数ある場合、その中から弥生会計へインポートする仕訳を記帳している会計帳簿を選択します。基本的には"円"の会計スキーマを選択して下さい。

◆転記タイプ(必須)

弥生会計へインポートする仕訳の転記タイプを選択します。基本的には"実績"を選択して下さい。

◆転記日付(必須)

弥生会計へインポートする仕訳データを作成する期間をFrom~Toで指定します。この期間で指定した範囲の仕訳を対象に弥生会計へインポートする仕訳データを作成します。

◆組織(任意)

弥生会計へインポートする仕訳データを組織を限定して作成したい場合に選択入力します。

◆伝票(任意)

弥生会計へインポートする仕訳データを伝票(≒テーブル)で限定したい場合に選択入力します。

◆レコードID(任意)

弥生会計へインポートする仕訳データを、仕訳のレコードIDで限定したい場合に選択入力します。レコードIDは複数の伝票で同じIDになる可能性がありますので、通常は上記の"伝票"の制限と一緒に使用する事を想定しています。仕訳のレコードIDの意味を理解している上級者向けの実行条件です。

Step2-2:弥生会計インポート用仕訳データ一覧レポート

弥生会計インポート用仕訳データ作成プロセスを実行すると、作成した弥生会計へインポートする仕訳データを一覧レポートとして表示します。

表示された一覧レポートを確認し、CSVデータでダウンロードします。

【補足説明】印刷書式の注意点

印刷書式を作成する際に、カラムの並び順に気を付けるとともに、データのソート順にも気を付ける必要があります。弥生会計では、仕訳ごとに1行名と最終行を識別する情報があるため、その順番がズレると弥生会計にインポートする際にエラーになります。

Step3:弥生会計へのインポート

Step2でダウンロードしたCSVファイルを弥生会計へインポートします。

CSVデータの修正

iDempiereからダウンロードしたファイルは、ヘッダ行があり、文字コードはUTF-8のため、ヘッダ行を削除し、S-JISで保存し直します。

これで、あとは弥生会計へインポートするだけです。

iDempiereの仕訳データと弥生会計へインポートする仕訳データの対応

弥生会計のインポート用仕訳データの詳細な仕様は下記のURLを参照して下さい。

1.識別フラグ(必須/4桁/文字[String]) : JP_Yayoi_IdentifierFlag

JPiereでは、下記の”複数行の伝票データ”のロジックに準拠してデータを作成します。

複数行の伝票データ

  • 1行目 :2110
  • 間の行 :2100
  • 最終行 :2101

2.伝票番号(任意/6桁 /数値[Integer]) : JP_Yayoi_DocNo

この伝票番号の項目は弥生会計の伝票番号であり数値で6桁しかないため、iDempiereから渡せる情報で、適切な情報が見当たらないので、空欄とする。

3.決算(任意/4桁/文字[String]) : JP_Yayoi_Kessan

空欄とする。

4.取引日付(必須/10桁/日付[String]) : JP_Yayoi_DateAcct

転記日付(DateAcct)をyyyy/MM/dd形式の文字列の日付に変換。

5.借方勘定科目(必須/24桁/文字) : JP_Yayoi_DrAcct

勘定科目エレメントのIF検索キー(JP_IF_Value)の値。 IF検索キーが空欄の場合は、勘定科目エレメントの検索キー(Value)の値とする。借方金額が0の場合は、空欄とする。

6.借方補助科目(任意/24桁/文字) : JP_Yayoi_DrSubAcct

空欄とする。

7.借方部門(任意/24桁/文字) : JP_Yayoi_DrOrg

組織名称。

8.借方税区分(必須/-/文字) : JP_Yayoi_DrTax

税金情報マスタのIF検索キー(JP_IF_Value)の値。IF検索キーが空欄の場合は、”対象外”とする。基本的にiDempiereにおいて消費税の計算が行われて、税抜経理処理されているため、弥生会計で消費税を計算する必要は無いので注意する事。ほとんどの場合は”対象外”で良いのではないかと思われる。

9.借方金額(必須/11桁/金額) : JP_Yayoi_DrAmt

借方金額(会計通貨)。弥生会計では整数しか受け付けないとの事なので、iDempiereにおいて、BigdecimalからIntegerに変換処理している。

10.借方税金額(任意/11桁/金額) : JP_Yayoi_DrTaxAmt

「0」固定。

11.貸方勘定科目(必須/24桁/文字) : JP_Yayoi_CrAcct

勘定科目エレメントのIF検索キー(JP_IF_Value)の値。 IF検索キーが空欄の場合は、勘定科目エレメントの検索キー(Value)の値とする。貸方金額が0の場合は、空欄とする。 

12.貸方補助科目(任意/24桁/文字) : JP_Yayoi_CrSubAcct

空欄とする。

13.貸方部門(任意/24桁 /文字) : JP_Yayoi_CrOrg

組織名称。

14.貸方税区分(必須/-/文字) : JP_Yayoi_CrTax

「8.借方税区分」と同様。

15.貸方金額(必須/11 /金額) : JP_Yayoi_CrAmt

貸方金額(会計通貨)。

16.貸方税金額(任意/11桁/金額) : JP_Yayoi_CrTaxAmt

「0」固定。

17.摘要(任意/64桁/文字) : JP_Yayoi_Tekiyou

iDempiereの伝票番号(DocumentNo) + 伝票名(≒テーブル名) + 伝票の説明欄。伝票番号が無い出納帳などの場合は名称(Name)。伝票番号も名称も無い場合は、説明(Description)欄。

18.番号(任意/10桁/文字) : JP_Yayoi_Bango

iDempiereの仕訳(FACT_ACCTテーブル)のRecord_ID。

19.期日(任意/10/日付[String]) : JP_Yayoi_Kijitu

空欄。

20.タイプ(必須/1/数字) : JP_Yayoi_Type

「3」固定。

【弥生会計の仕様】

取引タイプを0~3の数字で記述。

  • 0:仕訳データ
  • 1:出金伝票データ
  • 2:入金伝票データ
  • 3:振替伝票データ

21.生成元(任意/4桁/文字) : JP_Yayoi_Seiseimoto

空欄。

22.仕訳メモ(任意/180桁/文字) : JP_Yayoi_Shiwakememo

仕訳帳(FACT_ACCTテーブル)の説明(Description)欄。

23.付箋1(任意/1桁/数字) : JP_Yayoi_Fusen1

空欄。

24.付箋2(任意/-/数字) : JP_Yayoi_Fusen2

空欄。

25.調整(必須/-/文字) : JP_Yayoi_Chousei

「no」固定。

カスタマイズ情報

追加テーブル

◆T_Yayoi_JournalJP

追加カラム

◆C_ElementValueテーブルにJP_IF_Valueカラムを追加

◆C_TaxテーブルにJP_IF_Valueカラムを追加

追加クラス

◆jpiere.base.plugin.org.adempiere.process.CreateYayoiJournal

◆jpiere.base.plugin.org.adempiere.model.MYayoiJournalJP