オープンソースのERP iDempiereには仕入先請求伝票で計上している債務をまとめて払う”まとめ払い"の機能があり、支払データを作成する事ができるようになっています。JPiereではその支払データを作成する機能を、全銀協規定の総合振込フォーマット(FBデータ/ファームバンキングデータ)を作成できるように追加開発しています。
ファームバンキングのデータを作成するためには、当然ながらマスタの設定を正しく行う必要があります。ここでは、そのマスタの設定を説明します。
銀行及びアカウント設定
◆銀行タブ
- 銀行名(半角カナ)…銀行名を半角カナで入力。15文字以内。
- ルーティングNo…銀行コードを半角数値で入力。4桁。
◆アカウントタブ
- 支店番号…金融機関の支店番号を半角数値で入力。3桁。
- 支店名(半角カナ)…金融機関の支店名を半角カナで入力。15文字。
- 口座番号…口座番号を半角数値で入力。7桁
- 依頼人(委託者)コード…金融機関から採番される依頼人コード(委託者コード)を半角数値で入力。10桁。
- 依頼人名(半角カナ)…依頼人名(委託者名)を半角カナで入力。40文字
- 支払データ作成クラス…"org.compiere.util.JapanPaymentExport"と入力。
取引先マスタ
◆取引先口座情報タブ
- 支店番号…金融機関の支店番号を半角数値で入力。3桁。
- 支店名(半角カナ)…金融機関の支店名を半角カナで入力。15文字。
- 口座番号…口座番号を半角数値で入力。7桁
- 口座名義(半角カナ)…口座の名義をを半角カナで入力。30文字
マスタ設定が正しくされていれば、あとは通常の"まとめ払い"の操作を行うだけです。
1.ヘッダレコード(総桁数120桁、文字は全て半角、以下各レコード共通)
項番 | 項目名 | 属性 | 桁数 | 備考 | JPiere仕様 |
1 | データ区分 | 数字 | 1 | 1:ヘッダレコード | 1で固定。 |
2 | 種別コード | 数字 | 2 |
21:総合 11or71:賞与 12:72:給与 |
21で固定。 |
3 | コード区分 | 数字 | 1 | 0:JIS | 0で固定。 |
4 | 依頼人コード | 数字 | 10 | 金融機関から指定される |
C_BankAccount. JP_RequesterCodeを使用。 |
5 | 依頼人名 | カナ | 40 |
|
C_BankAccount.
JP_RequesterNameを使用。 |
6 | 振込指定日 | 数字 | 4 | 月日(MMDD)の4桁 |
C_PaymentSelection. PayDateを使用。 |
7 | 仕向金融機関番号 | 数字 | 4 |
C_Bank. RoutingNoを使用。 |
|
8 | 仕向金融機関名 | カナ | 15 |
C_Bank. JP_BankName_kanaを使用。 |
|
9 | 仕向支店番号 | 数字 | 3 |
C_BankAccount. JP_BranchCodeを使用。 |
|
10 | 仕向支店名 | カナ | 15 |
C_BankAccount.
JP_BranchName_Kanaを使用。 |
|
11 | 預金種目(依頼人) | 数字 | 1 |
1:普通 2:当座 4:貯蓄 |
アカウントタイプが S(普通預金)であれば、 1としそれ以外は2とする。 |
12 | 口座番号(依頼人) | 数字 | 7 | 7桁 |
C_BankAccount. AccountNoを使用。 |
13 | ダミー(未使用) | カナ | 17 | スペース |
2.データレコード
項番 | 項目名 | 属性 | 桁数 | 備考 | JPiere仕様 |
1 | データ区分 | 数字 | 1 | 2:データレコード | 2で固定。 |
2 |
被仕向金融機関番号 (振込先金融機関コード) |
数字 | 4 |
|
C_Bank. RoutingNoを使用。 |
3 |
被仕向金融機関名 (振込先金融機関名称) |
カナ | 15 | 左詰、スペース埋め |
C_Bank. JP_BankName_kanaを使用。 |
4 |
被仕向支店番号 (振込先支店コード) |
数字 | 3 |
C_BP_BankAccount. JP_BranchCodeを使用。 |
|
5 |
被仕向支名 (振込先支店名称) |
カナ | 15 | 左詰、スペース埋め |
C_BP_BankAccount. JP_BranchName_Kanaを使用。 |
6 | 手形交換所番号 | 数字 | 4 | 省略可(スペース) | スペース×4。 |
7 | 預金種目 | 数字 | 1 |
1:普通
2:当座 4:貯蓄 |
アカウントタイプが S(普通預金)であれば、 1としそれ以外は2とする。 |
8 |
口座番号 (振込先の口座番号) |
数字 | 7 | 右詰、ZERO埋め |
C_BP_BankAccount. AccountNoを使用。 |
9 | 受取人名 | カナ | 30 |
C_BP_BankAccount. JP_A_Name_Kanaを使用。 |
|
10 | 振込金額 | 数字 | 10 | 右詰、ZERO埋め | |
11 | 新規コード | 数字 | 1 |
省略可(スペース) |
スペース×1。 |
12 | 顧客コード1 | カナ | 10 | 省略可(スペース) | スペース×10。 |
13 | 顧客コード2 | カナ | 10 | 省略可(スペース) | スペース×10。 |
14 | ダミー | 数字 | 9 | スぺース | スペース×9。 |
3.トレーラーレコード
項番 | 項目名 | 属性 | 桁数 | 備考 | JPiere仕様 |
1 | データ区分 | 数字 | 1 | 8:トレーラレコード | 8で固定。 |
2 |
合計件数 |
数字 | 6 |
データレコードの合計。右詰、ZRO埋め |
|
3 |
合計金額 |
数字 | 12 |
データレコードの合計。右詰、ZRO埋め |
|
4 |
ダミー |
数字 | 101 | スペース |
4.エンドレコード
項番 | 項目名 | 属性 | 桁数 | 備考 | JPiere仕様 |
1 | データ区分 | 数字 | 1 | 9:エンドレコード | 9で固定。 |
2 |
ダミー |
数字 | 6 |
スペース |
|
2022年5月16日(v9)
改行コードの取り扱いが銀行により異なり、CRLFしか認めれていない銀行もあるため、改行コードをシステムコンフィグ設定で選択できるようにしました。
システムコンフィグ設定で、"JP_JAPAN_PAYMENT_EXPORT_LINE_END"を追加して、下記のいずれかの値を設定して下さい。
- CRLF
- CR
- LF
デフォルト設定は、JPiereがインストールされているOSの改行コードに依存します。Windows系であれば"CRLF"、Linux系では"LF"になると思います。上記以外の値を設定してもあえてエラーにはせずに、そのまま設定した文字列が各行の最後につけ足されますので設定には十分に気を付けて下さい。
※コンフィグレベルは"クライアント"で設定して下さい。
2018年8月27日
システムコンフィグ設定("JP_JAPAN_PAYMENT_EXPORT_ENCODING")で文字コードを指定できるようにしました。デフォルト値は"Shift_JIS"です。
※コンフィグレベルは"クライアント"で設定して下さい。
リポジトリ
クラス
- org.compiere.util.JapanPaymentExport
パラメータ設定
◆C_Bankテーブル
- JP_BankName_Kana(追加)…銀行(半角カナ)。String、15文字。
◆C_BankAccountテーブル
- JP_RequesterCode(追加)…依頼人(委託者)コード。String、10桁。
- JP_RequesterName(追加)…依頼人名(半角カナ)。String、40文字。
- JP_BranchCode(追加)…支店番号。String、3桁。
- JP_BranchName_Kana(追加)…支店名(半角カナ)。String、15文字。
◆C_BP_BankAccountテーブル
- JP_BranchCode(追加)…支店番号。String、3桁。
- JP_BranchName_Kana(追加)…支店名(半角カナ)。String、15文字。
- JP_A_Name_Kana(追加)…口座名義(半角カナ)。String、30文字。
- IsDefault(既存エレメント)
カスタマイズ履歴
2022年10月31日(v9):
【JPIERE-0580(v9)】振込口座/引落口座の選択 にともない下記の改善をしました。
- まとめ支払伝票の作成準備伝票に取引先口座情報が入力されている場合、その口座情報を使用して、FBデータを作成するようにしました。
- 入力されていない場合は、取引先銀行口座の使用用途が、両方か口座振込でデフォルトフラグがONで、もっとも古くから登録されている口座情報を使用するようにしました。デフォルトフラグがONの口座情報が無い場合は、もっとも古くから登録されている口座情報を使用します。
- FBデータを作成するのに十分な情報が無い場合はエラーになるようにしました。