【JPIERE-0012】出納帳(Bank Statement)での消費税計算

 iDempiereの標準機能では、出納帳(Bank Statement/Account Book)では消費税の計算が行えません。 しかしながら、出納帳を小口現金出納帳として使用したり、銀行への支払手数料等を処理する場合には、消費税を計算し、自動仕訳が起票される機能は必要です。

 そのため、出納帳での消費税計算機能をプラグインとして開発致しました。

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仕様

 出納帳ウィンドウの明細タブで、「料金タイプ処理金額(Charge Amount)」に金額を入力すると、「料金タイプ(Charge)」フィールドが表示されると同時に、「税金情報マスタ(Tax)」を入力するフィールドも表示されます。

出納帳明細
出納帳明細

 料金タイプ処理金額に入力する金額は税込金額です。通常、出納帳への記載する金額は実際に出入りする金額を記載するため、仕様として税込金額を入力するようにしています。料金タイプ処理金額を入力した後、料金タイプと税金情報マスタを入力して下さい。税金情報マスタには”タックスプロバイダー(※参照:【JPIERE-0011】 消費税の端数処理選択)”の設定がされている必要があります。タックスプロバイダーの設定がされていない場合はエラーになります。

タックスプロバイダーコンフィグの設定
タックスプロバイダーコンフィグの設定

 「料金タイプ処理金額(Charge Amount)」フィールド、「料金タイプ(Charge)」、「税金情報マスタ(Tax)」フィールドを入力し、保存ボタンを押すと、「税額計算(Bank Statement Tax)」タブに消費税が計算されます。税金の計算は出納帳の明細単位で行います。iDempiereの税額計算の標準機能では伝票単位で消費税計算する事ができますが、出納帳の場合はその業務特性により、明細単位での消費税計算を行う仕様にしています。

出納帳明細と消費税計算
出納帳明細と消費税計算

 この出納帳での消費税計算は、【JPIERE-0011】消費税の端数処理選択の機能を利用していますので、消費税の端数処理も選択する事ができます。

 また、税金情報マスタも使いまわせるように、税金情報マスタが伝票単位での税金計算の設定になっていても、出納帳に限っては明細単位で行うようにしています。そして、料金タイプの税込フラグの設定に関わらず、料金タイプ処理金額フィールドに入力された金額は税込金額として処理します。

 出納帳を完成にすると自動仕訳が転記されます。出納帳ではマイナス金額で入力すると支出を意味しますので、仮払消費税勘定で処理されます。プラスの金額で入力すると入金を意味しますので、仮受消費税勘定で処理されます。

出納帳の自動仕訳
出納帳の自動仕訳

技術情報

追加テーブル

◆JP_BankStatementTax テーブル

 出納帳で税金を計算するためのテーブル”JP_BankStatementTax”を追加しています。

 JP_BankStatementTaxテーブルのカラムを以下の通りです。

  •  C_Tax_ID
  •   AD_Client_ID
  •   AD_Org_ID
  •   IsActive
  •   Created
  •   CreatedBy
  •   Updated
  •   UpdatedBy
  •   TaxBaseamt
  •   TaxAmt
  •   Processed
  •   IsTaxIncluded
  •   JP_BankStatementTax_UU
  •   C_TaxProvider_ID
  •   C_BankStatementLine_ID
  •   C_BankStatement_ID
  •   IsSOTrx

C_BankStatementLineテーブルにC_Tax_IDカラムを追加

 消費税を計算するためにC_BankStatemenetLineテーブルにC_Tax_IDを追加しています。

◆2022年3月29日(JPiere ver9)

C_BankStatementLineテーブルに「JP_SOPOType(売上/仕入区分)」カラムを追加しました。

モデルバリデーターの設定

 【IDEMPIERE-0012】出納帳での消費税計算では、モデルバリデーターの設定が行われます。モデルバリデータウィンドウの「モデルバリデータークラス(Model Validation Class)」フィールドに "jpiere.base.plugin.org.adempiere.base.JPiereBankStatementLineModelValidator" と設定されている事を確認して下さい。

モデル張りデータの設定
モデル張りデータの設定

 モデルバリデーターを有効にするためにサーバーの再起動が必要です。

カスタマイズ履歴

2022年6月6日(Ver9)

仮受消費税及び仮払消費税の仕訳の情報に、出納帳明細の情報を引き継ぐように修正しました。これまで取引組織の情報を仕訳に引き継ごうとした時に、出納帳のヘッダータブの取引組織の情報が引き継がれるようになっていたための改善です。

2022年3月22日 ver9

出納帳明細に売上/仕入区分[JP_SOPOTypeカラム]を追加して、消費税の仕訳の勘定科目を制御できるようにしました。そして、【JPIERE-0543(v9)】仕訳帳に課税標準額と税額の追加 と関連して、消費税の情報を仕訳帳に引き継ぐようにしました。

出納帳明細
出納帳明細

売上/仕入区分フィールドは、税金情報をマスタを入力すると表示されます。未入力の状態で保存すると、適用科目金額がマイナスの場合は「仕入れ等に係る消費税」が自動入力され、プラスの場合は「売上げに係る消費税」が自動入力されます。

「仕入れ等に係る消費税」が選択されると、請求伝票仮払税金勘定[T_Credit_Acct]もしくは請求伝票租税公課[T_Expnse_Acct]使用して、消費税の仕訳が起票されます。

「売上げに係る消費税」が選択されると、請求伝票仮受税金勘定[T_Due_Acct]を使用して、消費税の仕訳が起票されます。

税額計算タブの課税標準額と税額は、適用科目金額と売上/仕入区分により符号が変わります。

例えば、摘要科目金額がマイナス(-)で、売上/仕入区分が「仕入等に係る消費税」を選択すると、税額計算情報タブの課税標準金額や税額はプラス(+)になります。これは、適用科目が金額がマイナス(-)というのは、費用の支払いを意味して、仕入等に係る消費税の観点としては課税標準額や税額はプラス(+)となるからです。

反対に、摘要科目金額がプラス(+)で、売上/仕入区分が「仕入等に係る消費税」を選択すると、税額計算情報タブの課税標準金額や税額はマイナス(-)になります。

【ポイント】税額計算タブの課税標準と税額が、そのまま仕訳に引き継がれる!!

 

◆追加カラム

  • C_BankStatementLineテーブルに、JP_SOPOTypeカラムを追加。

◆更新クラス

  • JPiereBankStatementLineModelValidator
  • Doc_BankStatementJP
  • DocLine_BankStatementJP
  • JPiereBankStatementTaxProvider

2022年3月4日 ver9

出納帳明細で税率が0%の税金情報マスタを選択した時に、自動仕訳の転記処理で発生するNullPointerExceptionを解消しました。

  • Doc_BankStatementJP

2021年3月28日 ver8.2

出納帳で消費税の計算を行った際に、仮受消費税/仮払消費税の仕訳情報に、税金情報が引き継がれていなったのを引き継がれるように改善しました。

  • Doc_BankStatementJP

2021年2月1日 ver8.2

完成にするまでは、0%の消費税は税額計算タブにレコードが作成されませんでしたが、完成にする前でもレコードが作成されるように改修しました。

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