iDempiere(アイデンピエレ)の税金設定と税額計算
オープンソースのERP iDempiere(アイデンピエレ)の税金処理は、日本の消費税をはじめとして、営業税や売上税、付加価値税(VAT:Value Added Tax)などと呼ばれる世界中の消費税に類似する税金(以下、消費税等とする)を処理する事ができるように設計されています。ここでは、主にiDempiereの税金設定と税額計算について調査及び研究し、その成果をまとめています。
税金設定と税額計算概要
公開コンテンツ + トレーニングコンテンツ(AB01:基本業務プロセス)
iDempiereの税金処理は、日本の消費税をはじめとして、営業税や売上税、付加価値税(VAT:Value Added Tax)などと呼ばれる世界中の消費税に類似する税金を処理する事ができるように設計されています。ここではiDempiereの消費税等の処理にどうような機能があるのか、その機能を概要的に説明しています。
税金の処理に関係するマスタ
公開コンテンツ + トレーニングコンテンツ(AB01:基本業務プロセス)
iDempiereの消費税等の処理の中心となるマスタが「税金情報(Tax Rate)マスタ」で、消費税等を処理するために必要となる税率などを設定します。そして、その税金情報マスタを区分管理するのが「税カテゴリ(Tax Category)」です。税カテゴリは品目マスタや料金マスタに設定され、伝票明細の税金情報フィールドに自動初期設定される税金情報マスタを決定するキー情報の1つになります。ここではiDempiereの消費税処理に関係するマスタとその設定に関して調査及び研究し、その成果をまとめています。
iDempiereの消費税等の自動仕訳は、日本の消費税で言う所の”税抜経理方式”で記帳する事ができます。そして、日本では使用する事はありませんが、支払った消費税を費用処理したり、国税分と地方税分を分けて処理するなど消費税等が複合されているような場合もそれぞれの税金毎に分けて仕訳を記帳する事ができます。ここでは、iDempiereの消費税等の自動仕訳のロジックについて調査及び研究し、その成果をまとめています。
返還等対価に係る消費税の調整処理
公開コンテンツ + トレーニングコンテンツ(AB01:基本業務プロセス)
[平成25年4月1日現在法令等]
商品販売をした事業者がその取引を行った後に、売上値引きをしたり、売上割戻金や販売奨励金を支払ったり、売り上げた商品について返品を受けたこと等により売掛金の減額等を行う場合には、商品を販売した事業者は、これらの金額に対応する消費税額について調整する必要があります。
- 参照:国税庁 タックスアンサー https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6359.htm
売上げに係る対価の返還等において消費税額を計算するのは、値引き、返品、割戻しなどの対象となった、取引がすべて同じ税率での商品やサービスであれば簡単ですが、取引の中には不可税取引や免税取引が含まれている可能性があり、そう簡単な話ではありません。例えば、軽減税率が適用された場合には、いわゆる出精値引きなどと言われる、取引全体に対して行う割引の中の消費税額を計算する事は理論上不可能でしょう。
ここでは、売上に係る対価の返還等をiDempiereではどのように管理し、消費税を申告すればよいのか、その一案を紹介しています。
[平成25年4月1日現在法令等]
商品を購入した事業者がその取引を行った後に、販売業者から仕入値引きを受けたり、仕入割戻金や販売奨励金の支払を受けたり、仕入れた商品について販売業者へ返品をしたこと等により買掛金の減額等を行う場合には、商品を購入した事業者は、これらの金額に対応する消費税額について調整する必要があります。
- 参照:国税庁 タックスアンサー https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6363.htm
仕入れに係る対価の返還等において消費税額を計算するのは、値引き、返品、割戻しなどの対象となった取引がすべて同じ税率の商品やサービスであれば簡単ですが、取引の中には不可税取引や免税取引が含まれている可能性があり、そう簡単な話ではありません。例えば、軽減税率が適用された場合には、いわゆる出精値引きなどと言われる、取引全体に対して行う割引の消費税額を計算する事は理論上不可能でしょう。
ここでは、仕入に係る対価の返還等をiDempiereではどのように管理し、消費税を申告すればよいのか、その一案を紹介しています。
貸倒れに係る(消費)税額の調整
公開コンテンツ + トレーニングコンテンツ(AB01:基本業務プロセス)
[平成25年4月1日現在法令等] 売掛金その他の債権が貸倒れとなったときは、貸倒れとなった金額に対応する消費税額を貸倒れの発生した課税期間の売上げに対する消費税額から控除します。 控除の対象となる貸倒れは、消費税の課税対象となる取引の売掛金その他の債権(以下「売掛金等」といいます。)に限られます。
- 参照:国税庁 タックスアンサー https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6367.htm
貸倒れた債権の中の消費税額を計算するのは、そう簡単な話ではありません。債権の発生要因になった取引の中には、課税取引だけでなく、不可税取引や免税取引が含まれている可能性があるからです。例えば、軽減税率が適用された場合には、貸倒れた債権の消費税相当額を計算する事は理論上不可能でしょう。
ここでは、貸倒れに係る(消費)税額の調整をiDempiereではどのように管理し、消費税を申告すればよいのか、その一案を紹介しています。
※このメニューはiDempiereに設定されているベースメニューをわかりやすいように再構成しています。
関連するコンテンツ
【カスタマイズポイント】申告書の作成について
家電量販店で購入できる会計ソフトの多くに消費税や法人税の申告書の作成機能がついている影響だと思いますが、たまに「税金の申告書の作成ができますか?」という質問を受けます。
Compiere Distributionに関わらず、多くのERPはグローバル展開できるシステムという事を重視する傾向にありますので、税金の申告書の作成というローカル対応は基本的に標準機能では提供されないケースがほとんどだと思います。
Compiere Distribuitonは、税金の申告までしっかりと念頭において導入する事により、税金の申告書を作成するのに必要となる情報をスムーズに取得する事ができます。この情報をもとに申告書までレポテーティングツールを使って作成する事はできると思いますが、ERPの導入を検討する多くの企業では税理士もしくは会計士など会計の専門家と顧問契約しており、会計の専門家が申告書の作成を行いますので(もしくは社内の経理担当者が申告書まで作成できる)、ERPで申告書の作成までを行う必要性はほとんどありません。
それに税金に関する法改正は頻繁に行われますので、申告書の作成までシステムで対応しようとすると、保守費がかさみ費用対効果は良くないと思います。
そのため、税金の申告は専門家に任せて、システムでは申告書を作成するために必要となる情報の提供までと切り分けてCompiere Distributionを使うのが経験上良いのではないかと思います。