iDempiere(アイデンピエレ)の生産管理
ここではオープンソースのERP iDempiere(アイデンピエレ)の生産管理の機能について調査及び研究し、その成果をまとめています。
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オープンソースのERP iDempiereには2つの生産管理モジュールがあります。1つは標準機能に組み込まれている"Manufacturing Lite"と呼ばれる生産管理モジュールと、もうひとつは"Libero Manufacturing"と呼ばれるADempiereに組み込まれている生産管理モジュールをiDempiereのプラグインとして提供されているものです。
【カスタマイズポイント】製造業にiDempiereを導入する際の選択肢
製造業にiDempiereを導入する場合、生産管理システムの選択肢として"Manufacturing Lite"と"Libero Manufacturing"の他に、”既存の生産管理システムとの連携”も検討に値すると思います。ここで"既存の生産管理システム"とは、iDempiereの導入を検討してい企業が既に使用している生産管理システムと、他の生産管理パッケージを指しています。
他のERPの導入事例においても、生産管理システムだけは別のシステムを使用する事例も多いようです。
Manufacturing Lite(マニュファクチュアリング ライト)は、iDempiereに標準で組み込まれている生産管理システムです。名前に"Lite"とつくことからわかる通り、機能的には生産管理の簡易版的な機能で、本格的なMRPなどの機能は提供されていません。
Manufacturing Liteの機能的には会計面の機能が目立ち、古い生産管理システムからのリプレイスや、はじめて生産管理を導入するような企業を対象としているようですが、iDempiereの他のモジュールと連携する事で、導入企業独自の生産管理システムを構築する基盤として活用する事ができます。
Manufacturing Liteには、部品表(BOM:Bill Of Material)の機能があり、多階層の部品表を作成する事ができます。
◆多階層の部品表(BOM)の構成を確認する事ができる「部品表ビューワー」
多階層化されている部品表(BOM:Bill Of Material)は「部品表ビューワー(BOM Viewer)」で視覚的に確認する事ができます。
マルチBOM(1つの品目に目的別に複数のBOMが登録できます。)
iDempiere ver9より、1つの品目に複数の部品表が登録できるようになりました(マルチBOM)。詳しくは下記のコンテンツで検証していますので、ご参照下さい。
参考
Manufacturing Liteでは、部品表の構成品目の標準原価を積み上げて、製造する品目の原価とする事ができます。
Manufacturing Liteでは、属性管理の機能を活用し、製造する品目のロットやシリアル番号を管理し、トレース(追跡)する事ができます。
Manufacturing Liteでは、ロットやシリアル番号などの属性セットインスタンス毎に、品質検索を結果を記録しておく事ができます。※品質検索の項目はマスタ管理され、自由に登録する事ができます。
Manufacturing Liteでは、在庫補充の機能があり、カスタマイズによりMRPへの拡張が可能な機能を提供しています。標準機能ではリードタイムなどの時間軸を考慮した在庫補充機能ではありませんが、Manufacturing Liteの運用に慣れて、導入企業独自のMRPシステムを構築する際には、そのベースとして活用できるのではないかと思います。
【ポイント】Manufacturing LiteのMRP
Manufacturing Liteには本格的なMRPの機能は実装されていません。 Manufacturing Liteを開発したAdaxa社の資料を読むと、MRP2の生産管理システムは、そのシステムを運用するスキルが社内に無い場合、しばしば良い結果につながらないと主張しています。そのため、Manufacturing Liteは、MRP2の生産管理システムを運用するスキルがない(運用する必要がない)企業に、いわゆる身の丈にあった生産管理システムとして導入し、使用してもらう事を意図しているようです。
そして、将来的にはManufacturing Liteをベースに導入企業の要件にあったMRPシステムを構築できるようにもAdaxa社としては意図しているようです。
iDempiereには、プロジェクトをフェーズやタスクにブレイクダウンして進捗や損益を管理する事のできるプロジェクト管理モジュールがあります。このプロジェクト管理モジュールを活用する事で、Manufacturing Liteに製造工程や、より詳細な差異分析の機能を追加する事ができます。
【カスタマイズポイント】プロジェクト管理モジュールを活用する
プロジェクト管理モジュールは、1つのプロジェクトをフェーズやタスクに分割して進捗及び損益を管理する事ができます。そのためプロジェクト管理を、製造工程のマスターと捉える事により、Manufacturing Liteでも製造工程の進捗管理や工程ごとの差異分析に活用する事ができます。
Manufacturing Liteとプロジェクト管理モジュールを組み合わせて、導入企業によりフィットした生産管理システムとして活用するには、コーディングを伴う開発を含めたカスタマイズを施す必要がありますが、iDempiere上に独自の生産管理システムを構築する場合などには、よいアイディアになるのではないかと思います。
生産管理(Manufacturing Lite)
品質検査(Quality Test)
パーツタイプ(Part Type)
品目マスタ(サマリレベル除く)と部品表(Parts and BOMs)
品目マスタの部品表フラグ適正化(Validate BOM Flags)
部品表の構成チェック(Verify BOM Structure)
部品表を代替品目で一括更新(Universal substitution)
部品表ビューアー(BOM Viewer)
インデント(字下げ)により階層構造を表した部品表レポート(Indented Bill of Material)
Replenish Report incl. Production
製造指図伝票(単品)(Production (Single Product))
【補足説明】予実製造指図伝票
JPiereでは、Manufacturing Liteの機能を拡張して、予実製造指図伝票というのを追加しています。予実製造指図伝票は生産活動の予定と実績を対比して管理できる伝票です。
技術情報管理(Engineering Management)
生産リソース(プラント、生産ラインなど)(Resource Manufacturing)
生産リソース(プラント、生産ラインなど)(Manufacturing Resource)
生産管理ワークフロー(Manufacturing Workflow)
生産管理WFセットアップフロー(Manufacturing Workflow set up)
生産管理ワークフロー(Manufacturing Workflows)
生産管理ワークフローエディター(Manufacturing Workflows Editor)
部品表(Bill of Material & Formula)
部品表(Bill of Material & Formula)セットアップフロー
部品表(Bill of Material & Formula)
多階層部品表詳細レポート(Multi Level BOM & Formula Detail)
生産計画セットアップフロー(Planning Management Setup)
生産計画(Product Planning)
生産計画作成(Create Product Planning)
需要予測管理(Forecast Management)
期間別需要予測レポート(Forecast Report by Period)
MRP(資材所要量計画)
MRPセットアップフロー(Material Requirement Planning Setup)
MRP計算(Calculate Material Plan)
CRP(能力所要量計画)
CRPセットアップフロー(Material Requirement Planning Setup)
CRP計算(Calculate Capacity Plan)
DRP(物流リソース計画)
DRPセットアップフロー(Material Requirement Planning Setup)
生産管理Tips ※非公開コンテンツ
iDempiereの生産管理に関係するTipsをまとめています。