iDempiere(アイデンピエレ)の取引先管理(取引先マスタ)
iDempiereは取引先マスタで、「得意先(Customer)」、「仕入先(Vendor)」、「従業員(Employee)」を管理します。得意先/仕入先/従業員という区分は、取引の立場を表すものであり、その立場を永続的に区分する事は事実上不可能なため、iDempiereではまとめて取引先マスタとして管理しています。
この事により、得意先でもあり仕入先でもあるような取引先の情報を、取引先マスタとして一元的に管理する事ができます。ここではiDempiereの取引先マスタについて調査及び研究し、その成果をまとめています。
ページ目次
取引先マスタの役割 トレーニングコンテンツ(AB01:基本業務プロセス)
取引先マスタを登録/管理する際に、取引先マスタをどういった基準で登録するのか運用ルールを決めるのは、意外と難しい課題です。 iDempiereでは1つの取引先マスタに複数の住所を結びつけておく事ができます。そのため、支店が複数あるような取引先の場合、支店の数だけ取引先マスタを登録するか、それとも取引先マスタは1つにして支店の数だけ住所を登録するのか運用を決める必要があります。
取引先マスタを複数登録するのか、それとも住所を複数登録するかの判断材料として、ここでは取引先マスタの役割を8つほど列挙しています。取引先マスタの運用ルールを決める参考にして下さい。
取引先マスタで”得意先(入金先)”、”仕入先(支払先)”、”従業員”を管理する
iDempiereでは、取引先マスタで得意先、仕入先、従業員を管理します。これは、得意先でもあり仕入先でもある取引先が存在する事、従業員は社内販売では得意先になり、従業員が立て替えている経費精算の場合には仕入先(支払先)にもなる事などを考慮し、同一の取引先であれば、全ての種類の取引を1つのマスタで一貫して管理できるように設計されているためです。
取引先マスタは伝票に取引先の情報を入力するのに使用する
iDempiereの多くの伝票には取引先マスタを入力するフィールドが設けられています。特に受注伝票/発注伝票、出荷納品伝票/入荷伝票、売上請求伝票/仕入請求伝票、入金伝票/支払伝票では取引先マスタの入力は必須となっています。
取引条件を管理する単位
取引先マスタに、取引条件(支払条件、支払方法、請求スケジュールなど)を設定しておく事で伝票を登録する際に、それらの取引条件が伝票に自動設定されます。自動設定された取引条件は伝票入力時に上書き修正する事ができますが、修正は誤入力の原因にもなりかねないので、取引条件を設定する単位として取引マスタの運用を検討するのも大切な観点になるでしょう。
【カスタマイズポイント】複数会社でiDempiereを運用する場合の取引条件管理
標準機能では、1つの取引先マスタに取引条件は販売管理用と購買管理のそれぞれ1つずつしか登録する事はできません。複数会社でiDempiereを運用する場合、同じ取引先であっても、取引条件が会社ごとに異なる事が考えられるので、1つの取引先マスタに対して複数の取引条件が設定できるように、取引先マスタに”契約管理機能”を拡張する必要があるでしょう。
組織毎に契約(取引条件)管理するような機能であれば、それほど難しくなくカスタマイズする事がでます。
売掛金や買掛金の補助簿となる
各種伝票入力された取引先マスタの情報は、仕訳にも引き継がれます。仕訳に取引先マスタの情報が引き継がれるので「会計レポート(Financial Report)」で取引先別の債権・債務の残高レポート等を作成する事ができ、売掛員や買掛金の補助簿の役割を果たします。
与信管理を行う単位
取引先マスタには与信額を入力するフィールドがあり、取引先マスタ単位で与信管理を行う事ができます。受注伝票作成時に与信額の一定割合を超えると、警告を表示する事ができます。
請求書などの証票類を発行する単位
iDempiereの標準機能では通常、請求書や納品書の発行は取引先マスタ単位で行います。得意先への証票を作成する単位になります。
消費税の計算ロジックの制御単位(非課税取引事業者)
取引先マスタには、消費税等の非課税取引事業者及び免税事業者かどうか判定するフラグがあり、そのフラグがONの場合には消費税等は0%で処理する事ができるようになっています。
取引先マスタと組織マスタを結びつけて内部取引(組織間取引)を行う主体になる
iDempiereでは取引先マスタと組織マスタを結びつけて(取引先マスタの組織リンク)内部取引を行う事ができます。伝票タイプの設定と、組織リンクされた取引先マスタを使用して、カウンター伝票を作成する事ができます。
取引先マスタ設定フロー トレーニングコンテンツ(AB01:基本業務プロセス)
取引先マスタに多くの関係するマスタがあり、設定するパラメータも非常に多くあります。ここでは、取引先マスタを登録する前に準備が必要なマスタや登録した後に設定するマスタなど、取引先マスタの登録・設定の指針となれば・・・という思いから、簡単なフローを作成してみました。
取引先管理(Business Partner Management)
取引先マスタ(Business Partner)
取引先関係(Partner Relation)
取引先別取引情報(Business Partner Info)
担当者(エージェント)別取引情報(Sales Rep Info)
取引先マスタ詳細レポート(Business Partner Detail)
取引先指定の未収未払債権債務レポート(Business Partner Open)
取引先マスタの債権債務残高再計算(Validate Business Partner)
取引先管理セットアップ(Business Partner setting)
取引先管理セットアップフロー(Business Partner Setup)
取引先グループ(Business Partner Group)
敬称(Greeting)
支払条件(Payment Term)
請求スケジュール(Invoice Schedule)
督促(Dunning)
メールテンプレート(Mail Template)
メール送信(Send Mail Text)
※このメニューはiDempiereに設定されているベースメニューをわかりやすいように再構成しています。