オープンソースのERP iDempiereには、会計カレンダーで伝票の登録を制御する事ができます。そしてその会計カレンダーにおいて調整期間を作成して、通常の期間(標準期間)に登録された仕訳と調整期間に登録した仕訳を区分して集計する事ができます。
ここでは、会計レポートにおける調整期間の使い方が、2021年10月(iDempiere8.2)で改善されましたので、その改善内容について調査及び研究し、その成果をまとめておきたいと思います。
改善内容
IDEMPIERE-4721:Financial Report : exclude all adjustment periods のチケットにおいて会計レポートの表示に、調整期間を含めるかどうか選択適用する事ができるようになりました。
調整期間の除外方針
調整期間に登録された仕訳を会計レポートに含めて表示するか、それとも除外するのかその方針を選択します。
◆レポート表示期間の最終日と同じ終了日付の調整期間だけを除外する
改善前の挙動と同じ挙動をします。レポート表示期間の最終日と同じ終了日付の調整期間は、会計レポートには含まれません。 レポートの表示期間の途中にある調整期間の仕訳は会計レポートに含まれます。
◆調整期間は除外しない(調整期間と標準期間を合算して表示)
レポート表示期間内にあるすべての調整期間の仕訳も含めて、会計レポートが表示されます。
◆調整期間は除外する(標準期間だけ表示)
調整期間の仕訳は一切含めずに、会計レポートを表示します。
動作検証
2021年1月~12月の1年間に、上期修正と下期修正の調整期間を登録して検証します。
会計カレンダーに調整期間を追加
調整期間を登録したら、振替仕訳伝票のベース伝票タイプをオープンにします。
調整期間に仕訳を登録する
上期の調整期間と、下期の調整期間のそれぞれに振替仕訳伝票を使用して、次の仕訳を登録します。
(借方) 現金 10,000,000円 / (貸方) 売上 10,000,000円
会計レポートでの確認
◆調整期間は除外する(標準期間だけ表示)
この場合、調整期間の仕訳は表示されませんので、2021年12月末の現金の残高は0円となっています。
◆レポート表示期間の最終日と同じ終了日付の調整期間だけを除外する
この場合、下期の調整期間に投入した仕訳は含まれませんので、2021年12月末の現金の残高は上期の調整期間に投入した、10,000,000円だけが表示されます。
◆調整期間は除外しない(調整期間と標準期間を合算して表示)
この場合、レポートの表示期間に属するすべての調整期間と標準機能の仕訳を集計して表示するため、2021年12月末の現金残高は20,000,000円と表示されます。